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コンビニに並ぶ性的な雑誌と有害図書の指定制度

コンビニに並ぶ性的な雑誌と「有害図書」制度をめぐる疑問に、順を追って答えていきます。

Q. なぜコンビニに性的な雑誌が置かれているの?

答え:「成人向け」かどうかを決めるのは出版社。18禁マークを貼らなければ「一般誌」として、性的な内容でもコンビニの棚に並びます。

2019年、セブン-イレブン・ローソン・ファミリーマートの大手3社は、「成人向け雑誌」の販売を全店舗で中止する方針を発表。同年に実施されました。[1]

しかしこの方針が対象としたのは、あくまで「成人向け雑誌」だけでした。

「成人向け」か否か判断するのは出版社

「成人向け雑誌」かどうかを決めるのは、出版社です。法律上の定義はなく、18禁マーク(成人向けシール)を貼るかどうかも出版社の判断に委ねられています。

18禁マークがなければ「一般誌」として扱われるため、性的な内容の雑誌であっても、コンビニの一般棚に置くことができます

Q. コンビニに並ぶ性的な雑誌は、規制できないの?

答え:手立てはあります。知事が「有害図書」に指定する制度があり、東京都で指定されるとコンビニでは原則取扱不可になります。

手立てがまったくないわけではありません。
各都道府県には、知事が「有害」と認めた図書「有害図書(8条指定図書類)」に指定し、青少年への販売などを制限する制度があります。

東京都では「東京都青少年の健全な育成に関する条例」第8条に基づき、主に次のような図書が指定されます。[2](東京都では「青少年」とは18歳未満の者を指します。[7]

条例 第八条第一項 第一号[2]
青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

指定されると次のような制限が課され、青少年の目に触れにくくする措置がとられます。[10]

18歳未満への
販売・貸出禁止

区分陳列
または包装が義務

違反を続けると
30万円以下の罰金

東京都で指定されるとコンビニで取扱不可に

東京都で指定されると、JFAガイドラインにより、加盟コンビニ各社は指定された号を原則取り扱わなくなります[3]

さらに連続3回または年通算5回の指定を受けると、出版倫理協議会の自主規制により全国の取次業者も扱わなくなります[4][5]

東京都青少年健全育成審議会 議事録を見る →

Q. どんな書籍が指定されている?有害図書への申し出はできる?

答え:8年間の指定95件のうち94件がコミックで、性的な雑誌は0件。申し出は誰でもできますが、審議会に届くのはまれです。

東京都の指定図書の割合
(平成30年〜令和8年5月、全95件)[6]

BL(ボーイズラブ)コミック82件(86%)
コミック(BL以外)12件(13%)
コミック計94件(99%)
雑誌1件(1%)

※「雑誌」の1件は『ラジオライフ』。性的描写ではなく犯罪誘発を理由とする指定で、性的な雑誌ではありません。

※ ジャンル(BL・コミック・雑誌)の分類は当サイトによるものです。

東京都が平成30年〜令和8年5月の約8年間で指定した図書はわずか95件。1冊をのぞき、94冊がコミックです。

具体的には、性描写を含むBL(ボーイズラブ)コミックが中心で、性的な雑誌は1冊も指定されていません[6]

実際の有害図書(8条指定図書類)リストを見る →

申し出はできても審議会に届くのはまれ

気になる図書類は、各自治体に有害図書の申し出を行うことができます。東京都にお住まいの方は東京都へ、それ以外の方はお住まいの都道府県の担当窓口に申し出ることができます。

8年の間に都民から出された有害図書への申し出数は、延べ278でした。しかし、そのうち審議会に諮問されたのはたった2件だけ詳しくは知る③)。残り276件は、事務局の段階で「指定基準には該当しない」「諮問するには至らない」と却下されています。[11]

Q. 申し出をしても却下されるなら、意味がないのでは?

答え:意味はあります。却下されても申し出は件数として議事録に記録され、制度の運用を外部から検証する手がかりになります。

東京都での約8年間で延べ278件の申し出のうち、審議会に諮問されたのはたった2。この数字を見て、「申し出ても無駄なのでは」と感じるのは自然なことだと思います。

それでも申し出には意味があります

申し出は、却下されても件数として議事録に記録されます。このサイトが「278件中2件」と言えるのも、その記録が残っていたからです。記録の積み重ねは、制度がどう運用されているかを外部から検証するための手がかりとなります。実際に、申し出を起点として指定に至った例も1作品あります(第715回)。

Q. 現状を変えるためにできることは?

答え:できることは2つ。自治体への申し出と、コンビニへの問い合わせです。

わたしたちにできることが、2つあります。

1

自治体に申し出を行う

気になる雑誌や本を見かけたら、お住まいの都道府県に申し出ることができます。雑誌の名前・発売日があれば、申し出が可能です。(都道府県別・有害図書の指定方式 一覧→

申し出に加えて、制度の運用そのものについて、改善を意見として伝えることもできます。

2

コンビニに問い合わせを行う

各コンビニチェーンのお客様窓口に、気になる雑誌について問い合わせることができます。2019年の「成人向け雑誌」販売中止も、利用客からの声の積み重ねと、五輪等を控えた社会環境の変化を背景に実現しました。[1]コンビニ本部への声は、取り扱い方針を見直す力になります。

どちらか一方でも、両方でも構いません。あなたの声が、現状を変える力になります。

現状を変えるために、行動する さらに詳しく:2 指定基準と指定図書の実態

出典・注記

  1. BuzzFeed Japan「セブン、ローソン、ファミマが成人誌の販売中止へ」(2019年1月22日)
  2. 東京都青少年の健全な育成に関する条例(東京都例規集)
  3. 「成人向け雑誌・ゲームソフト」取扱いガイドライン(2021年7月9日改定)一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(加盟会社:セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、デイリーヤマザキ、ローソン)
  4. 「出版倫理協議会の自主規制の申し合わせ」(1965年5月7日)日本書籍出版協会50年史 p.142
  5. 帯紙措置(有害規制監視隊)
  6. 8条指定図書類一覧(東京都都民安全総合対策本部)(令和8年5月時点)
  7. 東京都青少年の健全な育成に関する条例 第2条(東京都例規集)
  8. 文部科学省「都道府県の青少年保護育成条例における有害図書類等の指定等に関する規定について」(中央教育審議会答申 参考資料)
  9. 東京都青少年の健全な育成に関する条例 第9条の2(表示図書類の販売等の制限)(東京都例規集)
  10. 販売禁止・区分陳列・包装の義務は全国共通。これらに違反すると都から警告を受け、なお従わない場合に30万円以下の罰金(東京都の条例による)が科されます。
  11. 278件・2件の集計は当サイトによる議事録(第694回〜第766回)集計。「申し出」は議事録に件数として報告された都民の申し出、「審議会に諮問された」は事務局の判断を経て審議会の審議(諮問)に至ったものを指します。集計方法は議事録ページを参照してください。事務局段階での処理である点は、東京都への問い合わせ回答とも整合します。278件は議事録に記載された延べ件数です。同一人物による反復の申し出を1案件にまとめると約60案件になります(知る③の注記参照)。
  12. 東京都の条例上の正式な呼称は「8条指定図書類」(従来の通称は「不健全図書」)です。本サイトでは全国共通の一般的な名称として「有害図書」と表記します。

リンクは2026年6月時点。条例・自治体ページ・指定一覧は更新されることがあります。